ヒルドイドクリーム(軟膏)は、皮膚科で乾燥肌の方に処方される外用薬です。色素沈着が残ってしまった傷あとや火傷のあとを治すために処方されることもあります。
傷あとの色素沈着に効果があることから「シミにも効果があるかも…!?」と使う人が増えているようです。しかし、ヒルドイドクリームはあくまで肌の保湿目的に処方される薬です。「本当にシミが消えるの?」と半信半疑の方も多いはずです。
では、実際にヒルドイドクリームで顔のシミが消えるのかどうか、その成分から徹底的に検証していきます。
この記事の目次
ヒルドイドクリームで顔のシミは消えるの?

結論から最初にいえば、「ヒルドイド自体に顔のシミを消す効果はない」ただ「肌のケアには効果的なので、間接的にはシミに効果がある」です。
ヒルドイドの成分は「保湿」「血行促進」のための成分
ヒルドイドクリームの主成分は「ヘパリン類似物質」です。この成分は、シミに直接の効果はありません。では、どんな成分なのか?詳しく解説していきます。
ヘパリンとはヒアルロン酸と同じ「ムコ多糖類」とよばれる、肌の水分を保持する力をもった物質です。ヘパリンは肝臓で生成され、体内に元々存在する物質で、細胞間に入り込み、細胞間の水分を保持する作用を持っています。
ヒルドイドの主成分「ヘパリン類似物質」は、化学的に生成された「ヘパリン」と同じ働きを持つ物質です。肌に塗ると、肌の水分を保持し、皮膚の血行を促進します。
ヘパリン類似物質は肌の深層まで浸透しやすく、非常に高い保湿能力を持っています。そのため、皮膚科では、主に乾燥肌で悩む患者に処方されます。また、血行を促進する作用もあるので、傷あとの治りを早くするためにも使われます。
肌のターンオーバーを守るためには効果的
説明してきたように、ヒルドイドに含まれる「ヘパリン類似物質」は、シミへの直截の効果はありません。しかし、ヒルドイドの持つ高い保湿能力は、肌のターンオーバー(新陳代謝)を守るために使えます。
既に説明したように、ヒルドイドは肌の角質層の奥まで浸透し、肌の水分を保持する作用があります。肌のターンオーバーを正常に保つには、乾燥は大敵です。乾燥した肌では、肌のダメージが治りづらくなってしまいます。
ヒルドイドで適切に保湿し、肌をケアすれば、「肌が健康な状態」を保つことができます。肌が健康な状態であれば、ターンオーバーも正常に近づき、シミの治りも早くなるでしょう。このように、ヒルドイドはシミに間接的な効果があります。
ヒルドイドクリームに副作用はあるの?
ヒルドイド軟膏は非常に副作用の少ない薬です。ヘパリン自体、身体に元々ある物質ですし、経口摂取するわけでもなく、添付するだけなので、重大な健康被害を引き起こしません。
たとえば、アトピー性皮膚炎、乾皮症などの患者21人にヒルドイド軟膏を4週間以上処方した研究でも、副作用を発症した人は一人もいませんでした。(出展)別の副作用調査でも、119件中、副作用を発症した人は0件でした。
ヒルドイドクリーム(軟膏)は極めて副作用が少ない外用薬なので、健康的な方なら問題なく使用することができます。
使用上の注意点
ヒルドイドは「血行を良くする」作用があります。したがって、治りかけの傷の上に添付すると、出血まで促進してしまい、傷が悪化してしまいます。傷口が癒えきっていない場所に添付するのは絶対に避けて下さい。
また、目や鼻、口などの粘膜に付着しないように気をつけて下さい。
ヒルドイドクリームの効果的な使い方は?
入浴・洗顔後5分以内に使用しましょう。入浴・洗顔後は肌が水分を吸収しやすい状態になっています。肌が水分を十分吸収した後に、「ふた」をするのが保湿剤の目的ですから、入浴・洗顔後がベストのタイミングになります。
保湿・スキンケアのためには1日2回、朝・夜に使用するのがベストです。ヒルドイドを製造しているマルホによれば、1日1回添付する場合に比べて、1日2回使用した場合の方が肌の水分量が多かったからです。
ヒルドイドは「ソフト軟膏」「ローション」「クリーム」3つのバージョンで販売されています。どれも効果・成分は同様なので、季節や自分の肌のタイプにあわせて使いましょう。
夏場はヒルドイド軟膏だとベタつくので、「ヒルドイドローション」を使い、秋・冬は「ヒルドイドソフト軟膏」や「ヒルドイドクリーム」でしっかり保湿すると良いでしょう。
ヒルドイドでしっかり保湿し、肌のターンオーバーを正常にしましょう。